楽天市場の市場調査のやり方|市場規模・競合売上を把握して売れる余地を判断する方法

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楽天市場で売上を伸ばしたい、新しい商品を販売したい。そう考えたときに、商品ページや広告の改善より先にやっておきたいのが市場調査です。

結論からいうと、楽天市場の市場調査で最初に把握したいのは、細かな競合施策ではありません。「この市場では、そもそもどれくらい売れる可能性があるのか」「上位の商品はいくらくらい売っているのか」「その中で自社はいくらを狙うのか」という3点です。

楽天市場では、特定の競合店舗について正確な売上や販売個数がすべて公開されているわけではありません。そのため、市場規模を1円単位で正確に把握することは現実的ではありません。

しかし、市場調査の目的は、完璧な数字を作ることではありません。

その市場へ投資する価値があるのか、自社がどの程度の売上を狙えそうなのかを判断できる状態を作ることが、市場調査の本当の目的です。

この記事では、楽天市場やECにおける市場調査について、実際の店舗運営で使いやすい方法に絞って解説します。

【目次】

楽天市場の市場調査で最初に調べるべき3つのこと

楽天市場の市場調査というと、競合の商品ページ、価格、広告、レビュー、SEOなど、さまざまな項目を調べようとしがちです。

もちろん、それらも後々必要になります。ただ、最初からすべてを見る必要はありません。

まず確認したいのは次の3点です。

確認すること知りたいこと判断できること
市場の規模感そのジャンル・商品群にどの程度の需要があるか参入する価値がある市場か
上位商品の売上規模現在売れている商品がどの程度売れているか現実的に確認できる上位水準
自社の現在地売上・アクセス数・転換率・客単価がどの程度か目標まで何が足りないか

ここが分かれば、「市場自体は大きいのか」「自社の商品でも戦えそうなのか」「月商100万円を狙う市場なのか、1,000万円を狙える市場なのか」といった大きな判断ができます。

市場規模を知らないまま広告や商品開発へ投資するのは、ゴールが見えていない状態でアクセルを踏むようなものです。

ECで市場調査が重要な理由|売れる市場を見つけてから戦う

商品を販売して売上を作る方法を大きく分けると、「新しい市場を作る」か「すでに存在する市場の中で売上を取る」かの2つです。

もちろん、これまで存在しなかったカテゴリーを作り、大きな需要を生み出すことができれば非常に強いです。ただし、新しい市場を作るには、商品の認知から始めなければなりません。

ユーザーに「この商品が必要だ」と理解してもらうところから始まるため、広告費も時間もかかります。

一方、すでに楽天市場で検索され、競合商品が売れている市場であれば、少なくとも「その商品にお金を払う人がすでに存在している」ことは確認できます。

私たちは、基本的にはこちらから考えた方が良いと考えています。

すでに存在する需要を確認し、その市場のどこを、どの程度取りにいくのかを決める。そこから商品・広告・ページへ投資する方が、事業として判断しやすいからです。

新しい市場を作ること自体を否定するわけではありません。ただ、EC事業の立ち上げ段階や、限られた予算で新商品を販売するときほど、「すでに売れている市場」を見つけることの価値は大きくなります。

EC市場全体の数字だけを見ても、自社商品の市場規模は分からない

ECの市場調査をすると、日本国内のEC市場規模などの大きなデータが出てきます。

たとえば、経済産業省の調査では、2024年の国内BtoC-EC市場規模は26.1兆円とされています。

これはEC市場全体のトレンドを理解するうえでは有用です。しかし、自社が楽天市場で特定の商品を販売するときの意思決定には、そのままでは使えません。

たとえば、自社が「メンズ向け本革キーケース」を販売するとします。

日本のEC市場が何十兆円あるかよりも、実際に知りたいのは「楽天市場で同じような価格帯・用途・属性のキーケースが月にどの程度売れているのか」ではないでしょうか。

EC市場全体を見るマクロな市場調査と、自分たちが戦う商品市場を見るミクロな市場調査は分けて考える必要があります。

実際のEC運用では、後者の方が直接的な意思決定につながります。

楽天市場の市場調査では「売上の公式」も押さえておく

市場の規模感を調べるだけでは、実際の売上目標には落とし込めません。

楽天市場の売上は、基本的に次の3要素で考えられます。

売上 = アクセス人数 × 転換率(CVR) × 客単価

転換率(CVR)とは、商品ページなどへアクセスしたユーザーのうち、何%が購入したかを示す割合です。

たとえば、月商300万円を目標にしており、客単価が3,000円、転換率が2.5%だったとします。

まず必要な注文数は、

3,000,000円 ÷ 3,000円 = 1,000件

です。

1,000件の注文を転換率2.5%で獲得するためには、

1,000件 ÷ 2.5% = 40,000アクセス

が必要になります。

市場調査で「月商300万円程度までは狙えそうだ」と判断できても、現在のアクセス数が月5,000しかなければ、目標達成には大きなアクセス増加が必要です。

逆に、すでに月間30,000アクセスあるのであれば、SEOや広告だけでなく、転換率や客単価を改善した方が効率的かもしれません。

楽天市場ではR-Karteを使うことで、自店舗の売上、アクセス人数、転換率、客単価などを確認できます。市場調査と自店舗の数字をセットで見ることで、初めて「次に何を改善するべきか」まで落とし込めます。

楽天市場で市場調査をする具体的な5ステップ

1. 調査する市場をできるだけ具体的に決める

まず、「どの市場を調べるのか」を明確にします。

ここを広く取りすぎると、調査結果がほとんど意味を持たなくなります。

たとえば「財布市場」だけでは、価格帯もユーザーも商品用途も違いすぎます。

「3,000円前後のレディース向けミニ財布」「ビジネス用途の本革メンズ長財布」など、ある程度商品属性を揃えた方が実際の競争環境を把握しやすくなります。

価格帯、ターゲット、用途、素材、容量、サイズなどから、自社商品と購入理由が近い商品群を定義してください。

2. 楽天市場の検索結果やランキングから上位商品を確認する

次に、楽天市場内で対象キーワードを検索し、どの商品が継続的に上位へ出ているのかを確認します。

ジャンル別ランキングも参考になります。

楽天市場のランキングは、売上高や売上個数、取扱店舗数などのデータやトレンド情報をもとに楽天市場側で順位が作られています。

したがって、ランキング上位の商品を見ることで、そのジャンルで現在強い商品を見つけることができます。

ただし、ランキング1位だから「その商品の売上が市場の理論上の上限」というわけではありません。

「現在の楽天市場で実際に確認できる上位水準の一つ」として使うのが適切です。

3. 上位商品の販売規模をレビューの増加数から推測する

上位商品を見つけたら、次に「この商品がどのくらい売れているのか」を考えます。

正確な販売個数が公開されていない場合、手作業で確認しやすい方法の一つがレビュー件数の増加を見る方法です。

たとえば、ある商品について月初にレビューが1,000件あり、1か月後に1,030件になっていたとします。

1か月で30件レビューが増えています。

仮にレビュー投稿率を3%と置いた場合、

30件 ÷ 3% = 約1,000件

となり、月間販売数量を約1,000件と推測できます。

平均販売単価が3,000円なら、

1,000件 × 3,000円 = 約300万円

という計算です。

ただし、ここはかなり注意が必要です。

レビュー投稿率には「一律○%」という正解はありません。

商品ジャンル、購入者層、リピート率、レビューキャンペーンの有無などによって大きく変わります。

可能であれば、自店舗の「注文数に対して何件レビューが付いたか」を計算し、その比率を一つの参考値として使う方が現実的です。

レビューから算出する数字は、あくまで実売上ではなく規模感を把握するための推計値として扱ってください。

4. 必要になった段階で市場分析ツールを利用する

より精度高く市場規模や競合売上を把握したい場合は、外部のEC市場分析ツールを使う方法もあります。

たとえばNintなどでは、楽天市場の商品・ショップ・ジャンルについて推計売上や販売数量、市場シェアなどを確認できます。

ただし、こうした数字も楽天市場が公開した各社の実売上ではなく、ツール側のロジックによる推計データです。

また、本格的な分析機能を利用する場合は費用も発生します。

そのため、立ち上げ直後からいきなり高額な分析環境を用意する必要はないと考えています。

最初は楽天市場の検索結果・ランキング・レビュー、自店舗のRMSデータなどから市場の大枠を掴み、それでも判断材料が足りなくなった段階で導入を検討すれば十分です。

現在は商品数を限定した無料プランを提供している分析サービスもあるため、まず小さく試して、自社の意思決定に本当に使えるか確認する方法もあります。

5. R-Karteで自店舗の現在地と比較する

市場や競合を見るだけではなく、自社の数字も必ず確認します。

楽天市場のR-Karteでは、自店舗の売上、アクセス数、転換率、客単価などを分析できます。

さらに、同一ジャンルの店舗平均や、異なる月商帯の平均データと比較できるため、「自店舗は何が弱いのか」を考える材料になります。

たとえば競合と比較してアクセスが不足しているのか、それともアクセスはあるのに転換率が低いのかでは、やるべき施策がまったく違います。

市場調査は競合を見る作業ではなく、「市場・競合・自社」の3つを比較して、次の意思決定をする作業です。

市場調査の結果から「狙う売上」を決める

市場調査をしたら、そのまま資料にして終わらせてはいけません。

次に決めるのは、「自社はいくら取りにいくのか」です。

たとえば、調査した市場で上位商品が月商800万円程度と推計できたとします。

自社は現在月商80万円で、まず300万円を目指したいとします。

項目数値例
上位商品の推計月商800万円
自社の現在月商80万円
目標月商300万円
想定客単価3,000円
必要注文数1,000件
想定転換率2.5%
必要アクセス数40,000アクセス

ここまで作ると、「月商300万円を目指したい」という曖昧な目標が、「月40,000アクセスを作り、転換率2.5%を維持する」という具体的な条件へ変わります。

現在10,000アクセスなら、あと30,000アクセスをどう作るのか。

楽天SEOなのか、RPP広告なのか、商品数を増やすのか、イベント流入を取るのか。

ここから初めて施策を考えます。

市場調査をする意味は、「競合について詳しくなること」ではなく、自社の売上目標を現実的な数字へ変えることにあります。

売上だけではなく「利益が残るか」まで確認する

市場調査でもう一つ見落としたくないのが利益です。

競合が月商1,000万円を売っているからといって、自社も同じ売り方をすれば良いとは限りません。

競合が大量の広告費を投下していたり、高いポイント還元や大幅なクーポンを使っていたりする可能性もあります。

商品原価、送料、モール利用料、広告費、ポイント・クーポンなどを差し引いた結果、自社に利益が残らなければ意味がありません。

「売れる市場」と「儲かる市場」は同じではありません。

たとえば月商300万円を作れても、必要な広告費や値引き額が大きすぎて赤字になるのであれば、その市場への投資方法を見直す必要があります。

市場規模を見るときには、「いくら売れそうか」と同時に、「その売上を作るためにいくら使えるか」まで考えてください。

競合調査では価格・レビュー・商品ページなども確認する

ここまで解説したのは、主に「市場にどの程度の売上余地があるのか」を調べる市場調査です。

実際に楽天市場で競合と戦う段階では、さらに細かく競合を分析します。

具体的には、次のような項目です。

  • 販売価格、送料、ポイント、クーポンを含めた実質的な価格
  • レビュー件数・評価・レビュー内容
  • サムネイルや商品画像
  • 商品名や検索キーワード
  • SKU・サイズ・カラー・容量などの商品構成
  • 配送条件
  • 自然検索順位やRPP広告の露出状況
  • 楽天スーパーSALEやお買い物マラソン時の販促施策

ただし、ここまで入れると市場調査とは別に「競合分析」というテーマになってきます。

競合商品の具体的な調べ方については、別記事の「楽天市場の競合調査・競合分析のやり方」で詳しく解説していますので、あわせて確認してみてください。

楽天市場の市場調査でよくある5つの失敗

推計売上を実売上だと思ってしまう

レビュー逆算や外部ツールで確認できる競合売上は、基本的に推計値です。

数字が表示されると正確に見えてしまいますが、あくまで意思決定の材料として使うべきものです。

市場の定義が広すぎる

「食品」「バッグ」「財布」のような大分類では、実際に自社商品と競争する市場を把握できません。

ユーザー、価格帯、利用用途、商品属性などをある程度絞ったうえで比較してください。

上位店舗をそのまま真似する

市場トップの商品には、レビュー実績、ブランド力、広告予算、既存顧客など、自社にはまだない資産が存在する可能性があります。

勝っている理由を分析することは必要ですが、施策だけをコピーしても同じ結果になるとは限りません。

売上だけを見て利益を見ない

市場が大きくても、価格競争が激しすぎる市場では利益を確保しにくいことがあります。

最終的には「売上を作れるか」ではなく、「利益の残る売上を作れるか」で投資判断をしてください。

一度調べただけで市場を理解したと思ってしまう

楽天市場では、季節性や大型イベント、競合の価格変更、新商品投入などによって状況が変わります。

特に主力市場については、ランキング、レビュー増加数、価格などを定期的に確認しておくと変化を捉えやすくなります。

市場規模を完璧に調べる必要はない|まず上位商品の売上規模を見る

ここまで市場調査の方法を解説してきましたが、実務では市場規模を完璧に算出できないケースも多くあります。

楽天市場全体で、自社と完全に同じ条件の商品が月間いくら売れているのか。その中で各店舗が何%のシェアを持っているのか。

これをすべて正確に出そうとすると、かなり大掛かりな分析になります。

では、市場規模を正確に把握できなければ商品を販売できないのかというと、そんなことはありません。

特に事業の初期段階では、「自社と近い属性の商品で、最上位クラスの商品はいくらくらい売れているのか」を見るだけでも十分に価値があります。

上位商品が月数十万円しか売れていない市場で月商1,000万円を目指すのと、すでに複数の商品が月数百万円〜数千万円規模で売れている市場で月商1,000万円を狙うのでは、前提がまったく違います。

もちろん、上位商品の売上がその市場の絶対的な上限という話ではありません。

新商品によって市場が拡大することもありますし、既存商品より強い商品を作れば上位を超えられる可能性もあります。

それでも、「現在すでに誰かが実現している売上」は非常に強い判断材料です。

私たちは、市場調査の初期段階では、完璧な市場シェアの算出に時間を使いすぎるよりも、上位商品の販売規模を把握し、自社が狙う売上を決め、その数字が経営的に成立するかを確認する方が実務的だと考えています。

楽天市場の市場調査は「調べること」ではなく「投資判断」のために行う

楽天市場の市場調査で最も大切なのは、資料をきれいに作ることではありません。

「この商品を楽天市場で伸ばす価値があるのか」「月商いくらを狙うのか」「そのためにいくらまで投資できるのか」を決めることです。

まず市場を決め、上位商品の販売規模を見る。

そこから自店舗のアクセス数、転換率、客単価と比較し、目標売上までの差を数字にします。

そして、その差を埋めるための広告費や商品改善コストを考え、利益が残るのであれば投資する。

市場調査 → 売上目標 → 必要なアクセス・CVR・客単価 → 必要投資 → 利益。この順番で考えると、EC運営を「なんとなく売れそう」から数字に基づく意思決定へ変えられます。

商品ページ改善や楽天SEO、RPP広告などの施策は、その後です。

何をすれば売れるのかを考える前に、まず「どこで、いくらを取りにいくのか」を決めてみてください。

楽天市場・ECの市場調査に関するよくある質問

楽天市場で競合店舗の正確な売上は確認できますか?

基本的に、特定競合の正確な実売上がそのまま公開されているわけではありません。ランキングやレビューの増加、外部分析ツールなどから規模感を推測して判断します。

楽天市場の市場調査に有料ツールは必要ですか?

最初から必須ではありません。検索結果、ランキング、レビュー、RMS・R-Karteなどでも多くの情報を確認できます。調査対象が増え、手作業では効率が悪くなった段階で有料ツールを検討するとよいでしょう。

レビュー数から販売個数を推測する方法は正確ですか?

正確な実売数ではありません。レビュー投稿率は商品や店舗によって大きく異なるため、あくまで販売規模を推測するための参考値として使用してください。

市場調査はどれくらいの頻度で行えばよいですか?

主力商品の市場であれば月1回程度の定点確認に加え、楽天スーパーSALEやお買い物マラソンなど重要なイベント前後で競合状況を確認すると変化を把握しやすくなります。

市場が小さいと分かった場合はどうすればよいですか?

無理に売上目標を上げるのではなく、別の商品属性や価格帯、関連カテゴリーへの展開を検討します。「その市場では目標売上を作りにくい」と分かること自体も、市場調査による重要な成果です。