楽天市場の商品数は何点必要?売上との関係や増やすメリット・デメリット、利益を伸ばす考え方を解説

「楽天市場に出店するには、何商品くらい必要なのか?」「商品数を増やせば、店舗の売上も伸びるのか?」
楽天市場への出店を検討している方や、すでに店舗を運営している方の中には、このような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、楽天市場では商品数が多いほど売上を伸ばす機会は増えますが、商品数を増やせば必ず売上や利益が伸びるわけではありません。
商品数が増えれば、それだけ検索からユーザーに見つけてもらえる機会が広がります。一方、商品登録や在庫管理、倉庫、配送などのコストも増えていきます。
そのため、単純に「売上を伸ばしたいから商品数を増やそう」と考えるのはおすすめしません。
大切なのは、商品数を増やす目的を明確にし、それによって売上と利益がどれだけ増えるのかを試算したうえで判断することです。
この記事では、楽天市場で必要な商品数の目安から、出店プランごとの登録可能商品数、商品数と売上の関係、主力商品とロングテール商品の考え方まで解説します。
後半では、商品数を増やす前に確認したい数値や、具体的な利益シミュレーションも紹介します。ぜひ、自社店舗の商品戦略を考える際の参考にしてください。
- 1. 楽天市場の商品数は何点必要?出店時・運用時の目安
- 2. 楽天市場の出店プラン別の商品登録数と費用
- 3. 楽天市場の商品数を増やすと売上は伸びる?
- 4. 楽天市場の商品戦略は「主力商品」と「ロングテール商品」で考える
- 5. 楽天市場の商品数を増やす前に知っておきたい検索順位との関係
- 6. 楽天市場の商品数を増やすメリット・デメリット
- 7. 商品数を増やす前に確認したい5つの判断指標
- 8. 商品数を増やした場合の売上・利益をシミュレーションする
- 9. 楽天市場の商品数を増やす際の実務的な進め方
- 10. 商品数を増やす以外にも楽天市場の売上を伸ばす方法はある
- 11. 楽天市場の商品数は「増やせる数」ではなく「利益を生み出せる数」で考える
- 12. 楽天市場の商品数に関するよくある質問
楽天市場の商品数は何点必要?出店時・運用時の目安
まず、楽天市場では何商品くらい登録するべきなのでしょうか。
結論として、すべての店舗に共通する最適な商品数はありません。販売する商品のジャンルや価格帯、店舗の運営方針によって必要な商品数が変わるためです。
楽天市場への出店に必要な最低商品数は?
楽天市場の一般公開されている出店案内では、出店審査に必要な最低商品数として「必ず10商品以上」といった一律の数値は確認できません。
一部のEC関連サイトでは、出店初期の商品数として10〜20商品程度が目安として紹介されています。ただし、これは楽天市場が定める公式な最低商品数ではありません。
実際には、商品数だけでなく、販売する商品や事業内容、必要な許認可、提出書類なども審査の対象です。出店条件については、楽天市場の公式案内を確認しましょう。
では、実際の店舗運営では何商品を目指せばよいのでしょうか。
商品数10〜20点、50〜100点という目安をどう考える?
楽天市場に関する解説記事では、出店初期は10〜20商品、売上拡大を目指す段階では50〜100商品という目安が紹介されることがあります。
ただし、これらの数字をそのまま自社の目標にする必要はありません。
例えば、特定の商品を専門的に販売するメーカーであれば、商品数が数点でも、商品ページや集客施策を充実させることで売上を伸ばせる可能性があります。
一方、日用品や雑貨など、複数の商品を比較しながら購入することが多いジャンルでは、商品数が豊富なことがユーザーの選択肢につながります。
そのため、商品数を決める際は、次のような観点から考えることをおすすめします。
- 競合店舗は何商品程度を取り扱っているか
- ユーザーが求める種類やサイズ、カラーを揃えられているか
- 自社の商品だけでユーザーの購入目的を満たせるか
- 少ない商品数でも集客できる主力商品があるか
- 商品数を増やしても管理できる運営体制があるか
ここで重要なのは、競合店舗の商品数をそのまま真似するのではなく、競合がなぜその商品数を揃えているのかを考えることです。
商品数はあくまで店舗戦略の一部であり、それ自体を目標にするものではありません。
楽天市場の出店プラン別の商品登録数と費用
楽天市場では、契約している出店プランによって登録可能商品数の上限が異なります。
商品数を増やす場合、現在の出店プランでどこまで登録できるのか、プランを変更すると費用がどう変わるのかを確認しておきましょう。
出店プランごとの登録可能商品数
2026年10月時点で、楽天市場公式サイトに掲載されている主な出店プランの情報は以下のとおりです。
| 比較項目 | がんばれ! | スタンダード | メガショップ |
|---|---|---|---|
| 登録可能商品数 | 10,000商品 | 50,000商品 | 無制限(※) |
| 画像容量 | 1.5GB | 100GB | 無制限(※) |
| 月額出店料(税別) | 25,000円 | 65,000円 | 130,000円 |
| 契約期間 | 1年間 | 1年間 | 1年間 |
※メガショッププランは商品数と画像容量が無制限ですが、初期設定は200,000商品・100GBです。上限を引き上げる際には申請が必要です。
商品数が10,000商品以内であれば、登録可能数だけを理由にスタンダードプランを選ぶ必要はありません。
ただし、楽天市場ではプランによってシステム利用料率も異なります。そのため、目標月商や画像容量、その他の機能も含めて検討する必要があります。
楽天市場公式では、2026年10月時点の料金体系において、月商約178万円をスタンダードプラン検討の目安として案内しています。ただし、これは一定条件での料金比較であり、すべての店舗に当てはまる損益分岐点ではありません。
2027年2月から楽天市場の月額出店料が改定される
商品数を増やす計画を立てる際に、もう一つ確認しておきたいのが月額出店料の改定です。
楽天市場は2027年2月1日から、基本出店料を改定することを発表しています。
| 出店プラン | 2027年1月まで | 2027年2月以降 |
|---|---|---|
| がんばれ! | 25,000円 | 34,000円 |
| スタンダード | 65,000円 | 90,000円 |
| メガショップ | 130,000円 | 181,000円 |
※金額は税別です。上記は通常の出店プランの料金で、分割払いなどの別料金体系は含みません。契約時期によって経過措置の対象となる場合があるため、実際の請求額は楽天市場の案内を確認してください。
また、これまで月額10,000円のオプション機能として提供されていたCSV商品一括編集機能は、2027年1月利用分から無料化される予定です。
商品を大量に登録・編集する店舗にとっては、運営効率化につながる変更といえるでしょう。
ただし、CSVによる一括編集が無料になっても、商品写真の撮影や商品説明文の作成、在庫管理などの業務コストまでなくなるわけではありません。
商品数を増やす計画では、システム上の登録費用だけでなく、実際の運営費用も計算しておくことが大切です。
参考:楽天市場公式「基本出店料改定とCSV商品一括編集機能の無料化について」
楽天市場の商品数を増やすと売上は伸びる?
ここからは、商品数と売上の関係について解説します。
結論として、売れる可能性のある商品を増やすことは、店舗全体の売上を伸ばす有効な手段の一つです。
ただし、商品を登録するだけで売上が発生するわけではありません。
商品数が増えると売上の機会も増える
商品数が多い店舗ほど売上を伸ばせる可能性がある理由は、比較的シンプルです。
例えば、100商品を販売する店舗と、10,000商品を販売する店舗があったとします。
仮に、両店舗の全商品がそれぞれ1個ずつ売れ、商品の販売価格がすべて2,000円だった場合、売上は次のようになります。
| 比較項目 | 100商品 | 10,000商品 |
|---|---|---|
| 商品数 | 100点 | 10,000点 |
| 各商品の販売個数 | 1個 | 1個 |
| 商品単価 | 2,000円 | 2,000円 |
| 売上 | 20万円 | 2,000万円 |
これはあくまで商品数と売上の関係を理解するための仮定ですが、取り扱う商品が多いほど、売上の積み上げ余地が大きくなることが分かります。
また、商品数が増えることで、これまで接点のなかった検索キーワードからユーザーが流入する可能性も生まれます。
例えば、財布を専門に販売する店舗が、新たにカードケースやキーケースを取り扱えば、財布以外の商品を探しているユーザーにもアプローチできます。
楽天市場の検索結果やカテゴリ、広告など、複数の経路で商品が見つかる機会を増やせることは、商品数を増やすメリットといえるでしょう。
ただし、商品数を10倍にしても売上が10倍になるわけではない
ここは勘違いしやすいポイントです。
先ほどの例では、すべての商品が1個ずつ売れると仮定しました。しかし、実際にはまったく売れない商品もあれば、1商品だけで月に数百個売れる商品もあります。
さらに、商品を増やしたことで既存商品の売上が分散する場合もあります。
例えば、同じような財布を10種類追加した場合、従来の商品を購入していたユーザーが新商品へ移動するだけで、店舗全体の売上はあまり増えない可能性があります。
一方、既存商品とは異なるニーズを持つユーザーを獲得できれば、店舗全体の売上を上乗せできる可能性があります。
つまり、商品数を増やす際に見るべきなのは、単純な新商品の売上ではありません。
新商品を増やすことで、既存商品を含めた店舗全体の売上がどれだけ増えるのかを考える必要があります。
売上はアクセス数・転換率・顧客単価で考える
楽天市場の売上を考える際は、次の基本的な計算式を押さえておきましょう。
売上 = アクセス人数 × 転換率(CVR)× 顧客単価
CVRとは、アクセスしたユーザーのうち購入に至った割合です。
例えば、月間アクセス人数が5,000人、CVRが2%、顧客単価が3,000円の場合、売上は次のようになります。
5,000人 × 2% × 3,000円 = 300,000円
商品数を増やすことで期待できる効果は、新しい商品ページを通じてアクセス人数を増やすことです。
また、関連商品を揃えることで、店舗内での追加購入や顧客単価の向上が期待できる場合もあります。
ただし、CVRが低い商品ページを大量に増やしても、売上はなかなか伸びません。
アクセス数を増やす施策なのか、CVRを改善する施策なのか、顧客単価を上げる施策なのか。商品数を増やす前に、その目的を明確にしておきましょう。
楽天市場の商品戦略は「主力商品」と「ロングテール商品」で考える
商品数を増やす際におすすめしたいのが、商品ごとの役割を分けて考える方法です。
EC店舗では、すべての商品を同じように売ろうとする必要はありません。
むしろ、多くのアクセスや売上を獲得する主力商品と、品揃えや利益を支えるロングテール商品を組み合わせることで、店舗全体の売上構造を作っていく考え方があります。
主力商品はアクセス数と売上を作る
主力商品とは、店舗全体の売上や集客を牽引する商品のことです。
例えば、ある財布専門店で特定のカードケースが月間100万円売れている一方、その他の商品は月間数万円ずつしか売れていないとします。
この場合、月間100万円を売り上げるカードケースは、その店舗の主力商品と考えられます。
主力商品には、次のような役割があります。
- 楽天市場内の検索や広告からアクセスを集める
- 店舗全体の売上を大きく牽引する
- 新規顧客と店舗の接点を作る
- レビューや販売実績を積み上げる
- 関連商品への回遊の入口になる
主力商品では、販売数量を確保するために利益率をある程度抑えたり、欠品を防ぐために在庫を厚く持ったりする戦略も考えられます。
もちろん、すべての主力商品の利益率を低くする必要はありません。利益率を抑える場合は、販売数量や関連商品の購入まで含めて、十分な利益が残るかを確認することが前提です。
ロングテール商品は品揃えと利益を支える
ロングテール商品とは、1商品あたりの販売数量は多くなくても、複数の商品を取り扱うことで売上や利益に貢献する商品のことです。
例えば、主力商品のカードケースと一緒に購入されやすいキーケースや小銭入れ、ギフト用商品などが考えられます。
こうした商品には、次のような役割が期待できます。
- 主力商品とは異なる検索ニーズを取り込む
- 関連商品の追加購入を促す
- 顧客単価を引き上げる
- リピート購入の選択肢を増やす
- 店舗全体の利益を積み上げる
ロングテール商品では、主力商品ほど販売数量を求めず、商品ごとの利益率を高めに設定する方法もあります。
ただし、販売数量が少ない商品ほど、在庫が長期間残るリスクもあります。
そのため、売上だけでなく、在庫回転率や保管コストも含めて商品を選定する必要があります。
主力商品とロングテール商品を組み合わせて売上を作る
例えば、次のような売上構成の店舗があったとします。
| 商品区分 | 商品数 | 1商品あたり月商 | 合計月商 |
|---|---|---|---|
| 主力商品 | 3商品 | 50万円 | 150万円 |
| ロングテール商品 | 50商品 | 2万円 | 100万円 |
| 合計 | 53商品 | - | 250万円 |
※上記は商品ポートフォリオを説明するための架空の数値です。
この場合、主力商品3点で店舗全体の売上の60%を作り、その他の50商品で残り40%を作っています。
すべての商品を月商50万円まで育てる必要はありません。
むしろ、売上を大きく作れる商品に集客施策を集中させながら、その他の商品で品揃えや利益を補う方が、効率的に運営できる場合があります。
商品数を増やすときは、「何商品増やすか」だけでなく、「どの役割の商品を増やすのか」まで考えることをおすすめします。
楽天市場の商品数を増やす前に知っておきたい検索順位との関係
楽天市場で商品を販売するうえでは、検索結果でユーザーに見つけてもらうことも欠かせません。
ただし、商品数が多いだけで検索順位が上がるわけではありません。
楽天市場の検索順位は販売実績だけで決まらない
楽天市場は、検索順位の決定に関係する主な評価軸として、次の4つを公開しています。
- 商品情報の品質
- 商品・ショップの実績
- カスタム指標
- 規約・ガイドラインへの対応
このうち商品・ショップの実績には、検索キーワードごとのクリック率や転換率、レビュー情報、配送品質などが含まれます。
販売実績を積み上げることは検索順位の改善を考えるうえで大切ですが、売上だけで順位が決まるわけではない点には注意が必要です。
商品名や商品属性、画像、価格、配送条件なども含めて、ユーザーが購入したいと思える商品ページを作っていく必要があります。
参考:楽天市場公式「プラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する取り組み」
商品数を増やすだけでは販売実績を作れない
例えば、100商品を販売している店舗が、商品数を300商品まで増やしたとします。
新しく200商品を登録すれば、検索結果に表示される機会は増えるかもしれません。
しかし、それぞれの商品でアクセスや購入を獲得できなければ、十分な販売実績を作ることはできません。
また、広告予算や運営担当者の作業時間が変わらないまま商品数だけ増えると、1商品に使えるリソースが少なくなる可能性があります。
例えば、月間広告予算が10万円の店舗で、10商品に重点的に広告を配信する場合と、100商品へ予算を分散させる場合では、各商品の検証に使える予算が変わります。
もちろん、商品数を増やすこと自体が検索評価を下げるという話ではありません。
問題は、商品数を増やした結果、売れる商品を育てるための予算や作業時間まで分散してしまうことです。
まずは売れる商品を作り、その成功要因を他の商品へ展開する
当社では、商品数を増やす前に、現在売れている商品の成功要因を整理することをおすすめしています。
例えば、主力商品が売れている理由を次のように考えます。
- どの検索キーワードからアクセスが集まっているのか
- 競合商品と比べて何が評価されているのか
- 価格が購入の決め手になっているのか
- 配送の早さやレビューが購入につながっているのか
- どのようなユーザーに購入されているのか
これらを把握できれば、同じようなニーズを持つユーザーに向けて新商品を追加したり、人気商品のサイズやカラーを展開したりする判断がしやすくなります。
楽天市場には検索需要を取り込む商品を揃えるメリットがありますが、やみくもに商品数を増やす必要はありません。
まずは売れる理由を把握し、その理由を活かせる商品から拡張していくという考え方です。
楽天市場の商品数を増やすメリット・デメリット
ここまで、商品数を増やすことで売上機会が広がることを解説しました。
一方、商品数が増えるほど店舗運営には負担がかかります。ここでは、売上面以外も含めてメリットとデメリットを整理します。
商品数を増やすメリット
- 検索からの流入機会が増える:異なるキーワードを探しているユーザーと接点を作りやすくなります。
- 品揃えが充実する:ユーザーが希望するサイズや色、用途の商品を見つけやすくなります。
- 顧客単価の向上を狙える:関連商品の追加購入やセット購入を提案できます。
- 売上の柱を増やせる:複数の商品で売上を作ることで、特定の商品への依存を抑えられる可能性があります。
- 新しい市場を開拓できる:既存商品では接点がなかった顧客層やニーズにアプローチできます。
特に楽天市場のように、多くのユーザーが商品を探して購入するECモールでは、販売する商品の幅が広がることは集客面でのメリットになり得ます。
商品数を増やすデメリット
一方、商品数が増えることで発生するコストは、想像以上に多岐にわたります。
| コスト項目 | 想定される負担 |
|---|---|
| 商品仕入れ・製造 | 新商品の仕入れ費用、製造費用、最低発注数量への対応 |
| 在庫管理 | 在庫確認、欠品対応、棚卸し、滞留在庫の管理 |
| 倉庫・保管 | 保管スペースの拡大、外部倉庫の利用料金 |
| 配送・梱包 | サイズ別送料、梱包資材、出荷作業の増加 |
| 商品ページ制作 | 撮影、画像制作、説明文作成、商品登録 |
| 広告・販促 | 新商品の広告費用、クーポン、販促企画 |
| 運営・管理 | 価格変更、問い合わせ対応、商品情報更新 |
| システム | 在庫連携ツール、一括編集ツール、必要に応じたプラン変更 |
例えば、現在は小規模な倉庫で商品を保管できている店舗が、商品数を増やしたことで新たに大きな倉庫を借りる必要が生じるかもしれません。
また、今まで小型の配送方法で送れていた商品に加えて、大きな商品や重量のある商品を取り扱うようになれば、配送費用も変わります。
さらに、生鮮食品のように賞味期限や鮮度の管理が必要な商品では、商品数の増加が廃棄リスクや管理負担の増加につながります。
このように、商品数を増やすことで売上が伸びても、それ以上にコストが増えれば、店舗全体の利益は減ってしまいます。
商品数の拡大を考える際は、売上だけではなく、利益まで見て判断することが欠かせません。
商品数を増やす前に確認したい5つの判断指標
では、実際に商品数を増やしてもよい状態かどうかは、何を見て判断すればよいのでしょうか。
当社では、少なくとも次の5つを確認することをおすすめしています。
①現在の主力商品の転換率(CVR)は安定しているか
まず確認したいのが、主力商品のCVRです。
アクセスが十分に集まっているにもかかわらず、ほとんど購入されていない商品が多い場合、商品数を増やすよりも既存の商品ページを改善した方が効果的な可能性があります。
商品画像、価格、商品説明、レビュー、送料、配送日数などに改善できる点がないか確認しましょう。
なお、適切なCVRは商品ジャンルや価格帯、流入経路によって異なります。一律に何%以上であればよいと判断するのではなく、過去の実績や競合状況と比較することが大切です。
②自然検索からのアクセスは獲得できているか
次に、どの経路からアクセスが集まっているのかを確認します。
広告からの流入が中心なのか、楽天市場内の自然検索からもアクセスを獲得できているのかによって、新商品の集客方針は変わります。
自然検索から安定してアクセスを獲得できている場合、既存商品の成功要因を活かして商品数を増やす方法が考えられます。
一方、広告に大きく依存している店舗では、商品数を増やすほど広告予算が必要になる可能性があります。
自然検索流入比率について「30〜40%以上」という目安を紹介する解説もありますが、楽天市場が公表する一律の合格基準ではありません。
自社の商品ジャンルや広告戦略を踏まえ、流入数と売上の推移を確認しましょう。
③関連商品の購入や店舗内回遊が発生しているか
商品数を増やす目的が顧客単価の向上であれば、店舗内の回遊や追加購入の状況も確認したいところです。
例えば、カードケースを購入したユーザーがキーケースも一緒に購入しているのであれば、関連する商品を増やすことで追加購入を促せる可能性があります。
反対に、ユーザーが目的の商品だけを購入して店舗を離れている場合は、新商品を追加するだけでなく、商品ページから関連商品へ誘導する工夫も必要です。
商品の関連性を考え、ユーザーが自然に次の商品を見つけられる導線を作りましょう。
④レビューや販売実績を積み上げられているか
主力商品で一定の販売実績やレビューを獲得できているかも確認しておきましょう。
ただし、レビュー数や販売数量には、すべての店舗に共通する絶対的な基準があるわけではありません。
月ごとの販売数量やレビューの増加状況を確認しながら、現在の売れ筋商品をさらに伸ばせる余地がないか考えることが大切です。
新商品の追加によって既存商品の販売機会が減ってしまわないよう、広告予算や運営リソースの配分も検討しましょう。
⑤商品ごとの売上と利益を把握できているか
最後に確認したいのが、商品ごとの利益です。
売上が伸びている商品であっても、仕入れ原価や配送費、広告費などを差し引くと、ほとんど利益が残っていないことがあります。
商品数を増やす際は、少なくとも次の項目を把握しておくことをおすすめします。
- 商品ごとの売上と販売数量
- 商品原価と売上総利益
- 楽天市場のシステム利用料や決済関連費用
- 配送費、梱包費、倉庫費
- 広告費やクーポンなどの販促費
- 商品登録や在庫管理に必要な作業工数
売上が高い商品と、利益を多く生み出している商品は、必ずしも一致しません。
売上を作る商品と利益を作る商品を見極めることが、商品ポートフォリオを考えるうえでの基本です。
商品数を増やした場合の売上・利益をシミュレーションする
ここからは、実際に商品数を増やす場合、どのように売上と利益を試算すればよいのかを解説します。
今回は、楽天市場で販売する商品を新たに20商品追加するケースを考えてみましょう。
20商品追加した場合の売上シミュレーション
まず、以下の条件で試算します。
| 項目 | 仮定する数値 |
|---|---|
| 追加する商品数 | 20商品 |
| 1商品あたり月間アクセス人数 | 80人 |
| 転換率(CVR) | 2% |
| 顧客単価 | 2,500円 |
| 変動費控除後の限界利益率 | 30% |
※上記は計算方法を説明するための仮定であり、楽天市場の平均値や実際の運用実績ではありません。限界利益率30%は、商品原価・売上連動手数料・通常配送費などの変動費を差し引いた後の割合とし、後述する追加広告費・追加保管費・運営人件費・制作費は含めていません。
この条件で計算すると、追加商品の月間売上は次のとおりです。
20商品 × 80人 = 月間アクセス人数1,600人
1,600人 × 2% = 月間注文数32件
32件 × 2,500円 = 月間売上80,000円
つまり、20商品追加することで月間80,000円の売上を見込む計算になります。
ただし、これは新商品が想定どおりのアクセスとCVRを獲得し、既存商品の売上を減らさなかった場合の試算です。
売上からコストを差し引いて利益を計算する
では、この80,000円の売上から、実際にどれだけの利益が残るのでしょうか。
先ほど設定した限界利益率30%で計算すると、次のようになります。
80,000円 × 30% = 24,000円
この段階では、追加商品によって月間24,000円の限界利益が生まれる計算です。
しかし、商品数の増加によって、さらに次のような追加コストが発生すると仮定します。
| 追加コスト | 月額 |
|---|---|
| 倉庫・保管費 | 8,000円 |
| 運営・在庫管理の人件費相当 | 12,000円 |
| 商品撮影・ページ制作費の月次按分 | 4,000円 |
| 追加広告費 | 5,000円 |
| 合計 | 29,000円 |
これらを差し引くと、最終的な利益増減は次のようになります。
24,000円 − 29,000円 = −5,000円
つまり、このケースでは商品数を20商品増やし、売上を80,000円増やしたにもかかわらず、月間利益は5,000円減ってしまう計算です。
※試算では運営工数を人件費相当として評価しています。実際の会計上の利益と管理会計上の利益増減は異なる場合があります。また、初期在庫の仕入代金は売れた分の原価と区別し、資金繰りへの影響を別途確認する必要があります。
もちろん、これはあくまで仮定の数字です。実際には、追加の倉庫費用がほとんど発生しない店舗もあれば、もっと大きな費用が必要な店舗もあるでしょう。
ここで伝えたいのは、商品数を増やして売上が上がったとしても、最終的な利益が増えるとは限らないということです。
利益目標から必要な売上とアクセス数を逆算する
では、商品数を増やして利益を伸ばすには、どのくらいの売上が必要なのでしょうか。
先ほどと同じ条件で、追加商品の月間利益を30,000円増やしたいとします。
追加コストが29,000円、限界利益率が30%の場合、必要な月間売上は次のとおりです。
(利益目標30,000円 + 追加コスト29,000円)÷ 30% = 約196,667円
さらに、CVR2%、顧客単価2,500円の条件で必要なアクセス人数を逆算します。
196,667円 ÷ 2,500円 ÷ 2% = 約3,934人
20商品で割ると、1商品あたり月間約197人のアクセスが必要になる計算です。
つまり、今回の条件では、1商品あたり月間80人のアクセスでは利益目標に届かず、約197人のアクセスを獲得する必要があります。
この数字を見たうえで、「自社が追加する商品で、月間197人のアクセスを現実的に獲得できるのか?」と考えるわけです。
市場調査や競合調査、検索キーワードの需要などをもとに、その数字が達成できそうなのかを検証します。
仮に必要なアクセスを獲得できる見込みがなければ、商品数の追加ではなく、別の施策を検討する方がよいかもしれません。
このように、売上目標や利益目標から逆算することで、商品数を増やすべきかどうかを具体的に判断できます。
楽天市場の商品数を増やす際の実務的な進め方
商品数を増やす方向で検討する場合も、最初から大量の商品を登録することはおすすめしません。
商品数が増えるほど、売上だけでなく運営面の課題も増えていくためです。
①商品数を増やす目的を明確にする
まず、なぜ商品数を増やしたいのかを整理します。
例えば、次のような目的が考えられます。
- 売れる商品を増やして店舗全体の売上を伸ばしたい
- 主力商品への依存度を下げたい
- 新しい検索キーワードからアクセスを集めたい
- 関連商品を増やして顧客単価を高めたい
- リピート購入される商品を増やしたい
- 品揃えを充実させて顧客の選択肢を増やしたい
目的によって、増やすべき商品は変わります。
例えば、新規顧客を増やしたいのであれば、これまで取り扱っていなかった商品カテゴリへ広げる方法があります。
一方、顧客単価を上げたいのであれば、現在の主力商品と一緒に購入されやすい関連商品を追加する方が目的に合っているかもしれません。
商品数の増加そのものではなく、何を改善するための施策なのかを考えましょう。
②商品を現実的に増やせるか確認する
次に、実際に商品数を増やすことが可能なのかを確認します。
例えば、商品を仕入れて販売する店舗であれば、新しい商品を取り扱える仕入れ先が必要です。
メーカーであれば、新商品の製造に必要な設備や原材料、開発期間なども検討しなければなりません。
また、商品を増やせても、倉庫に保管できなければ販売を継続することは難しくなります。
具体的には、以下のような項目を確認しましょう。
- 新商品を仕入れられる取引先があるか
- 自社で製造する場合、生産能力に余裕があるか
- 最低発注数量や発注ロットは現実的か
- 倉庫に追加商品を保管できるか
- これまでと同じ配送方法を使えるか
- 商品の梱包や発送に必要な作業時間はどれだけ増えるか
- 商品ページの作成や更新を継続できるか
特に、商品によって大きさや重量が異なる場合は、配送費用を個別に確認する必要があります。
同じ販売価格の商品でも、配送サイズが変わるだけで利益が大きく変動する可能性があるためです。
③少数の商品から追加し、売上を検証する
商品を増やせる見込みが立ったら、最初は少数の商品から検証していくことをおすすめします。
例えば、最終的に100商品増やす計画であっても、まず10商品程度を追加して売上や利益を確認する方法があります。
この段階で、想定したアクセスが獲得できているか、CVRがどのくらいなのか、利益が残っているかを確認しましょう。
期待どおりの成果が出なかった場合は、商品選定や価格、商品画像などを見直します。
一度に大量の商品を仕入れるよりも、段階的に商品を増やした方が、失敗した場合の在庫リスクを抑えやすくなります。
④RMSを活用して売上に貢献する商品を把握する
商品数を増やした後は、楽天市場の店舗運営システムであるRMSのデータ分析機能などを活用しましょう。
確認したいのは、単純な商品別売上だけではありません。
例えば、次のような視点で商品を分析します。
- どの商品が多くのアクセスを集めているか
- どの商品が高いCVRを獲得しているか
- どの商品が新規顧客の獲得に貢献しているか
- どの商品がリピート購入されているか
- どの商品が高い利益を生み出しているか
RMSの店舗カルテなどでは、売上やアクセス、転換率、顧客に関するデータを確認できます。利用できる項目や管理画面の操作方法は、現在のRMS画面で確認してください。
例えば、新規顧客を多く獲得している商品が分かれば、その商品を中心に集客施策を強化するという判断ができます。
逆に、売上は少なくても利益率が高く、既存顧客に継続購入されている商品であれば、継続して販売する価値があるかもしれません。
⑤商品数が増えたら店舗内の導線を整理する
商品数を増やす際に見落としやすいのが、店舗内の商品導線です。
例えば、100商品しかなかった店舗が1,000商品を取り扱うようになった場合、ユーザーが目的の商品を探しにくくなる可能性があります。
そのため、商品数が増えたらカテゴリや特集ページ、関連商品の案内などを整理しておきましょう。
具体的には、次のような改善が考えられます。
- 商品カテゴリを用途や種類ごとに整理する
- 人気商品や売れ筋商品への導線を設ける
- 関連商品を商品ページ内で紹介する
- スマートフォンで商品を探しやすい構成にする
- 不要な画像や重いコンテンツを見直す
商品数が多くても、ユーザーが目的の商品を見つけられなければ、購入につながりにくくなります。
商品を増やすことと、商品を探しやすくすることは、セットで考えましょう。
商品数を増やす以外にも楽天市場の売上を伸ばす方法はある
ここまで商品数の増加について解説してきましたが、売上を伸ばす方法は商品数を増やすことだけではありません。
むしろ、店舗の状況によっては、既存商品の改善を優先した方が効率的な場合もあります。
既存商品のアクセス数を増やす
現在の商品数が少なくても、既存商品へのアクセスを増やせれば、売上を伸ばせる可能性があります。
例えば、商品名や商品属性情報を見直し、検索されやすい状態に整える方法があります。
また、RPP広告などを活用して、売れる可能性の高い商品への流入を増やすことも考えられます。
広告を活用する場合は、アクセス数だけでなく、広告費に対してどれだけの売上や利益が生まれているかも確認しましょう。
商品ページを改善して転換率を上げる
アクセス人数が変わらなくても、CVRを改善することで売上を伸ばせる場合があります。
例えば、月間アクセス人数5,000人、顧客単価3,000円の商品群を考えてみましょう。
CVRが2%の場合、売上は300,000円です。
一方、CVRが3%になれば、売上は450,000円になります。
商品数を1点も増やさずに、売上が150,000円増える計算です。
もちろん、CVRを1ポイント改善することが簡単というわけではありません。
ただし、商品数を増やすために新たな仕入れや倉庫費用をかける前に、既存商品に改善余地がないか確認する価値は十分にあります。
顧客単価を改善する
顧客単価を引き上げることも、商品数の増加以外で売上を伸ばす方法の一つです。
例えば、セット販売や複数購入を促す施策、関連商品の提案などが考えられます。
ただし、セット販売によって顧客単価が上がっても、値引きや配送費用の増加によって利益率が下がる場合があります。
そのため、顧客単価を改善する場合も、最終的な利益まで確認しましょう。
商品数を増やすべきか、既存商品の改善を優先するべきかは、現在の店舗で何が売上拡大の障害になっているのかによって変わります。
楽天市場の商品数は「増やせる数」ではなく「利益を生み出せる数」で考える
最後に、この記事で最もお伝えしたい考え方を整理します。
楽天市場では、商品数を増やすことで検索からの流入機会が増えたり、関連商品の追加購入を促したりするなど、売上を伸ばす機会が広がります。
そのため、商品数を増やすこと自体は、有効な売上拡大施策の一つです。
ただし、商品数が増えることで、仕入れや在庫管理、倉庫、配送、商品ページ制作など、さまざまなコストが増加します。
また、現在の運営体制で対応できる商品数にも限界があります。
例えば、売上を増やすために100商品追加したとしても、運営担当者の作業が増えすぎて既存商品の改善に手が回らなくなれば、店舗全体に悪影響が出る可能性もあります。
だからこそ、当社では商品数を増やす際に、次の順番で考えることをおすすめしています。
- なぜ商品数を増やしたいのか、目的を明確にする
- どのような商品を何点増やすのかを決める
- 仕入れ・製造・保管・配送の面で実現できるかを確認する
- 新商品によってどれだけの売上増加を見込めるか試算する
- 追加で発生する費用を洗い出す
- 最終的な利益がどれだけ増えるか計算する
- 少数の商品から検証し、成果に応じて拡大する
例えば、商品数を増やすことで月商が100万円増えると見込めても、そのために120万円の追加費用が発生するのであれば、利益面では望ましい施策とはいえません。
反対に、10商品増やすだけでも、大きな追加コストをかけずに継続的な売上や利益を生み出せるのであれば、十分に検討する価値があります。
楽天市場の商品数は、多ければ多いほどよいのではありません。売上目標と利益目標を達成するために、何商品必要なのかを考えることが大切です。
まずは自社店舗の現状を分析し、商品数の増加が本当に必要な施策なのかを検討してみてください。
楽天市場の商品数に関するよくある質問
Q. 楽天市場に出店するには最低何商品必要ですか?
楽天市場の一般公開されている出店案内では、一律の最低商品数は確認できません。10〜20商品という数字は一部の解説サイトによる参考目安です。取扱商材や出店条件を含め、楽天市場の公式窓口へ確認することをおすすめします。
Q. 楽天市場では何商品くらいあれば売上が安定しますか?
商品ジャンルや単価、競合状況によって異なるため、明確な商品数はありません。50〜100商品という目安が紹介されることもありますが、少数の主力商品で安定した売上を作る店舗も考えられます。
Q. 楽天市場の商品数を増やせばアクセス数も増えますか?
新しい検索キーワードや商品カテゴリからの流入機会が増える可能性があります。ただし、商品を登録するだけでアクセスが増えるとは限りません。商品名や商品属性、画像などの最適化も必要です。
Q. 商品ページ数とSKU数は同じですか?
同じではありません。SKUはサイズやカラーなど、販売・在庫管理の単位を指します。楽天市場では、1つの商品ページ内で複数のSKUを扱うことが可能です。新しい商品ページを増やすことと、既存商品のバリエーションを増やすことは区別して考えましょう。
Q. 商品数が少ない場合は広告と商品追加のどちらを優先するべきですか?
現在の商品に売れる可能性があり、アクセス不足が課題であれば、既存商品の集客強化を優先する方法があります。一方、品揃え不足によってユーザーのニーズを満たせていない場合は、商品追加が有効な可能性があります。
Q. 商品数を増やす際に最も確認するべきことは何ですか?
商品数を増やす目的と、追加後の利益見込みです。売上だけでなく、仕入れ・在庫・倉庫・配送・広告・人件費などを含め、店舗全体の利益がどれだけ増えるのかを試算して判断しましょう。


















